買っちゃったReport

A-bike

最終更新日 2008年 9月 21日 (日)(コトあるごとに更新中)

購入後・実際に使ってみての素直なレポートのシリーズ
とにかく小型に折り畳める自転車、A-bikeです。

はじめに

東京の街中を自転車で移動できたら…なんて思っていました。自宅から電車で都内に移動して、あとは自転車で軽快に移動…。そこで見つけたのがこのA-bike。これを知ったのがちょうど日本の輸入代理店が決まった頃のようでしたが、結構入手困難なよう。正規輸入代理店(大作商事)での通販だと半月ほど待ち。他にも通販サイトがあるようだけど、横行する模造品、そしてサポートが不安。しかし、正規代理店経由での販売店舗のひとつであるヴィクトリアに行ってみたら「ちょうど入荷したところ」という事で在庫が。さっそく購入しました。

1st Implession

店頭で箱を渡されて…う、意外と重い、そう感じました。しかもこの縦長の箱、普通に手で持つと底がちょうど地面に接する長さ。ちょっと持ち上げ気味で運ばなければなりません。これは辛そう。
購入したのは神田のVictoria L-Breath(アウトドア専門)だったのですが、道ひとつ挟んだ向こうのviento(アクティブスポーツ専門)でブレーキの調整と防犯登録ができるというので、そこに向かいました。

vientoのB1階、自転車専門のフロアでブレーキ調整、そして防犯登録。ここで「キャリングバッグ付属ですが、これに入れましょうか?」と言われ、そうしてもらいました。あのダンボール箱で持ち帰る気になれません。
調整したり、シートポストにグリスアップしたりしてもらい、最後にちょっと説明。畳み方の説明を聞いたけど、予想以上に手順が必要なんだなぁ。これで本当に10秒で組み立てられるのか?なんて思いました。でもいろいろ注意点も教えてくれて、店頭販売、しかも自転車専門フロアならではのメリットを感じました。

そしてキャリングバッグに入れて自宅へ。縦長のダンボールに比べればはるかに楽。でもやっぱり予想以上に重いかな。

1st Ride

電車の中で説明書を読み、自宅に到着して早速組み立て。おぉ、やってみると簡単じゃないか。これなら本当に10秒で組み立てられそうです。

そしていざ出発。うわ、バランス悪っ…。普通の自転車とは感覚が違う。マジかよ、これで都内を軽快に移動なんてできるかよ、なんだがすごいもの買っちゃったなぁという雰囲気。ステアリングが微妙で、すごく力が入ってしまいます。曲がるのがちょっと怖い。そしてそれ以上に段差に緊張。とにかく車輪が小さいので路面の小さなデコボコがダイレクトに伝わってきます。段差のたびに、転倒しないか、壊れないか…なんて心配をしてしまいます。

まぁ、でも、しばらく走っていたら、だんだんと慣れてきました。ただ、普通に使わない筋肉を使うようで、ちょっと疲れます。

そして驚いたことが、すごく軽いこと。畳んでいる時はあんなに重く感じたのに、いざ組み立てて自転車の形にするとその軽さに驚きます。錯覚というものでしょうか、同じ重量でも、自転車の場合はとても軽く感じてしまうところが面白いです。

そのメカニズム

いやぁ、よくできてますね。

面白いのが、組み立てた状態ではさすがに様々な箇所にロックがあります。しかし「畳んだ状態でのロック」というものが基本的に無いんですね。それでも畳んだ状態のまま維持できるようになっているのが面白いです。
まずハンドル、これは折り畳んだ状態だとハンドルの自重で下に折れる形。ただブレーキワイヤのため、多少外側に広がろうとします。裸で持ち運ぶ時はそれだけがちょっと邪魔になります。
そして一番面白いのがサドル部分です。サドルは下方向に折り畳まれていますが、これを上に持ち上げない限り畳まれた本体を伸ばすことができない構造になっています。いわば、サドルの自重が本体のロックになっています。

ハンドル部分を持って本体を持ち上げながら、畳まれたサドルを上に持ち上げれば、あとは多少上下にゆらせば、自重で本体が伸びます。完全に伸びてロックされたところでクイックレバーを締めて完全に固定。本体の前後方向はこれまた絶妙に留っているので、前後タイヤの間に足の甲を入れてちょっと広げれば、あとはスルッと広がります。クロスフレームをロックさせ、あとは畳まれたベダルをひろげて完成。
まぁ、普通にやって20秒位でしょうか、確かに慣れれば10秒で完了するでしょう。

2nd Ride

さて、本格的にこれで移動してみよう、ということで7月某日、ある所まで行って、その後帝国劇場(日比谷)まで行くというスケジュールにA-bikeを使ってみようと思いました。まず自宅から駅まで移動。しかしやっぱり、普通の自転車ほどの快適さは無いなぁ。そして電車に乗って、とある場所で用事を済ませ、あとは帝劇に向かいます。まず電車で新宿へ。ここでJRに乗り換えず、ここから帝劇までA-bikeで移動することしました。実はこれまでに乗っていても新宿から帝劇まで行けるかちょっと不安だったのですが、そこがまたA-bikeのいいところ、ダメなら電車でもバスでも乗ってしまえばいいことです。というわけで決行。

二重橋前にて

さすがに新宿駅前は混雑しているし、いきなりこれで車道を走るのは怖い。ということでまずは畳んだ状態のまま徒歩。新宿四丁目の交差点を過ぎ、新宿御苑の手前、マルイシティの前あたりで組み立て、16:30頃に颯爽と出発。
歩道から車道への段差はやはり少し緊張します。お洒落な石畳もその振動がちょっとつらいです。ゆるやかな下り坂ですが、やはり小径タイヤでは抵抗のほうが大きいのか、こがないと進みません。もちろん徒歩よりはずっと速く、そよぐ風が気持ちいいことは気持ちいいですが、でも疲れもあります。
16:45頃、四谷駅着。おぉ、ここまで来れれば大丈夫だな。人混みに注意しながらゆっくりと進み、16:55頃には平蔵門に到着。ここからはずっと歩道なので段差が無く楽です。しかも下り坂。お堀を眺めながら三宅坂を下ります。いやぁ、気持ちいい。これでもっと振動がや軟らかければもっと気持ちいいだろうけど。
そして17時頃には桜田門に到着。もうここから帝劇まではすぐです。せっかくだから二重橋を見物しようか…しかし二重橋周辺は自転車乗り入れ禁止。ということで畳み、手にもって二重橋の前へ。これまたA-bikeならでは。
そして帝劇へ。

距離と時間から察するところ、時速は10キロほどでしょうか。マニュアルにも、標準常用速度として時速5~10km/hと書かれています。普通にリズミカルに、無理にスピードを上げずに走行する程度が一番いいのでしょう。

約5キロ、数字的には短い距離でしたが、これだけで結構慣れたというか、コツを掴んだという雰囲気です。その後乗っても最初に乗った時のような不安定さはあまり感じなくなりました。やはり慣れというのが大きそうです。

乗らない時は?

持ち運ぶ時には、ケースに入れない場合は縦にしてハンドルステムを持って運びます。このとき、ハンドルは折って自重で下を向いているのですが、ブレーキワイヤの影響で若干外側に広がってしまい、これが歩く時に足にぶつかって多少邪魔になります。これを広がらないように固定できればもっと運びやすくなるでしょう。
また、当然ですが持ち運ぶ時には片手が塞がってしまうのが結構不便です。もちろん床に置けば問題ないのですが、買い物をしている時などでレジに並んだ時やファーストフード店など、商品を持ち、財布を取り出し…など、両手を使いながら移動できれば便利です。こんなときはハンドルを片側だけ伸ばした状態にして腕にかける、という方法もありますが若干不安定。できればベルトのようなものを用意して、肩から下げることができればとても便利になりそうです。
ある程度、長時間持ち運ぶようであれば付属のキャリングバッグに入れたほうが便利です。これなら肩から提げることもできます。バッグの上からハンドルステムをつかめば縦位置でも持ち運ぶ事ができます。このバッグのファスナーが両開きになっていれば、ハンドルステム部だけを開けて手を入れてつかむ、という事ができたのに、少し残念。

また、どうしても徒歩主体で行動する時にはやはり重く感じます。ということでコインロッカーに入れてみると…一番小さな300円/日のロッカーにも、ギリギリで入りました。コインロッカーには結構奥行があるので、横にした状態で、左右方向に斜めにすれば入ります(ギリギリなのでロッカーによっては入らないかもしれません)。ちなみに少し大きい400円のロッカーには余裕で入りました。余談ですが帝国劇場内の無料ロッカー(大)にも余裕で入りました。

電車の中では、混雑していればきちんとケースに入れ、縦にするべきでしょう。肩から下げると迷惑でしょう。その他、特急のような車両では足元に立てかけてもそれほど邪魔にはなりません。長椅子のシートに座るなら立てたまま両足の間に挟むのが良さそうです。

気になるところ

今までに使っていて気になった点をいくつか。

自転車に見えない?

A-bikeには、ギアボックスに大きな反射シールが張られています。さらにタイヤにも反射シールが装着されています。普通の自転車ならリアペダルにリフレクタが装着されれいるものの、横方向にリフレクタがあるのは余り見ません。
おそらく、通常の自転車よりスピードが遅く、さらにタイヤが小さいために自転車に見えにくいということ、つまり普通の歩行者に見間違えられやすいということがあるからなのではないか、と思いました。とすれば、とにかく自動車の運転者には早めに「妙な乗り物だぞ」という事に気付いてもらう必要がありそうです。
A-bike本体にはリア側のチューブにかなり大きな(縦約11センチ)赤いリフレクタが貼られています。普通の自転車なら直径数センチほどのリフレクタがあるだけです。それだけ、自転車という事をわかってもらえにくいのではないという事なのでしょうか。
もし「自転車であることを認識されにくい」という事であれば、とにかく「なんだこりゃ」と思えるようにしたほうがいいでしょう。ということで、様々な箇所にリフレクタを貼ってみました。

とにかく確認を。

慣れれば10秒で組み立て…というのは嘘ではありません。ただ、注意すべき点があります。
まず、クイックレバーを締め忘れたとしても、ロック機構によってとりあえず前後のチューブはロックされてしまうこと。逆に、ロック機構によってロックされていない状態でも、クイックレバーを締めればとりあえず固定されてしまうこと。いずれもちょっと怖いです。ここに全体重がかかるわけではないようですが、ロック機構でロックしたこと、そしてクイックレバーを締めた事の両方を意識しながら確認することは必須でしょう。
そして、前後タイヤの間を結ぶクロスフレーム部のロック。これは仮にロックされていなくても、普通に乗っていれば体重によって前後タイヤの間は広げられる方向に力がかかるので乗れてしまいます。しかし、前後タイヤの間が縮むような力が加わったら非常に危険です。
ということで、10秒で組み立てられたとしても、あと10秒かけてでも各ポイントが確実にロックされているか再確認するくらいの精神的な余裕が必要なのではないか…と思いました。場合によっては命にかかる問題です。転ばない、怪我しない、そのための10秒と思えば短い時間です。

この、特にクロスフレーム部のロックについては、松浦晋也さんのblog、松浦晋也のL/Dがとても参考になりました。貴重な情報の掲載に感謝します。

クイックレバーのゆるみ

シートステイの裏に六角レンチを装着
前後のチューブ、およびシートチューブ部にはクイックレバーがありますが、特に前後のチューブのクイックレバーは折り畳む毎に操作するのでゆるみそうです。試しにロック機構に頼らずクイックレバーの締め付けだけでは、体重をかけただけで縮んでしまいそうです。シートチューブも、走行中の振動で一度サドルが低くなってしまったことがありました。このあたりはしっかりと締められるように確認すべきでしょう。そして緩んでいたら適切に締められるようにボルトを締め直す事も必要でしょう。
このあたりは気付いた時にしっかり締め直しができたほうがいいか…と思いました。ということで、六角レンチを用意していたら安心かなと思います。シートステイの裏あたりが目立たず邪魔にもならないので、このあたりに適当に常備していれば、いざという時に安心でしょう。

結局?

A-bikeを買った方々のblog等にいろいろ書かれており、今更とは思いますが、やはりこれがポイントかと思いますので…。

普通に自転車・折り畳み自転車が欲しいという事であれば、A-bikeは決して勧められるものであはりません。A-bikeは普通の自転車に比べれば、乗り心地は良いとは言えませんし、安全性も劣るでしょう。

ただし、折り畳み自転車が欲しいのではない、とにかくA-bikeが欲しいんだ! という方であれば、この自転車の魅力を理解してくれることでしょう。そういう人には勧められます。つまり、普通の折り畳み自転車は、普通の自転車に折り畳みのメカニズムが付加されたもの、という事に対して、A-bikeは最初からA-bike、普通の自転車とは違うものだ、という認識が必要でしょう。

普通の自転車に比べれば、バランスは悪いし、疲れます。普通の自転車では何でもないような小さな段差、マンホール、点字ブロック、排水溝の穴などが、小さなタイヤには大きな障害となります。しかしそういった走行性能の悪さを理解し、受け入れれば、A-bikeはとても軽快で楽しい乗り物になるでしょう。自転車だけでの行動範囲と、電車+徒歩での行動範囲の間をうまく埋めてくれますが、それだけでない魅力がA-bikeにはあります。「なんかすごいもの買っちゃったなぁ」と最初には思いましたが、いい買い物だったと今は感じています。

その後のトラブル

早速いろいろトラブってます。残念ながら普通の自転車に比べるとトラブルが多いような気がします。

パンク

購入から10日くらいだったでしょうか、後輪がパンクしました。
マニュアルを見ながら修理。まずは後輪のブレーキを外し、次に後輪を外します。このボルトがものすごく固い。なんとか回せましたが、片側を緩めると反対側は締まったり、なかなか難しいです。ちなみにマニュアルには「左側のボルトは左ネジの為、反時計回りに回してください。」と書いてありますが、明らかに間違いです。左ネジが正解なので、外す時は時計回りです。あまりにも固かったので悩んでしまいました。
後輪が外せたら次にホイールからタイヤを外すわけですが、これも固い。ちなみに「タイヤビードワックス」なるものがあるようなので、次はそれを使ってみようと思います。
そしてタイヤチューブを取り出し、確認。なぜかチューブの内側に円周状のキズがあり、そのキズの部分でパンクしてました。なんでこんなところにキズが付くのか疑問。最初からキズがあったのではないかと疑ってしまいます。なにはともあれ普通のパンク修理キットで修理、ついでにパンクはしていないもののキズの部分にもパッチを貼って補強。そして外す時以上の苦労でタイヤをホイールにはめ込み、なんとか無事に修理することができました。
バルブの根元等がやられるとチューブ交換になるので、予備チューブを用意しておいたほうがいいかも。

パンク修理のコツについては別ページにまとめました。

ペダリング時のきしみ音

ある時突然、ペダルに力を込めると「ギギッ」というような不快な音が鳴るようになりました。力を入れない限り音は鳴らないので原因が掴みにくく… しかしどうやらクランク取り付け部あたりが怪しい。ということで一旦クランクを取り外し、接続部を清掃、軽くグリスアップして取付け直したところ、きしみ音は無くなりました。
なぜきしみ音が鳴るようになったのかよくわかりませんが、日頃からネジのゆるみ等、充分に注意したほうがよさそうです。

乗らない時は…その2

ベルトを装着

折り畳んだ状態で(ケースに入れずに)運ぶ時は、前述のとおりハンドルステムを持つことになります。これはこれで良く出来ていると思いますが、やはりそれで片手が塞がってしまうというのがちょっと不便です。小銭入れのファスナーを開けたり等、両手を使うシチュエーションはかなり多いです。ということで、畳んだ状態で持ち運ぶ時にても両手が使えるよう、ハンドルステムにベルトを装着してみました。
これはとても便利です。A-bikeのメリットは、電車で移動し、移動先で目的地まで乗って、目的地で畳んで…という事ができることだと思いますが、その目的地はどこか、という事です。そしてその目的地では、その目的のために出費をすることがあります。そこで財布を取り出す必要があります。そこで両手が必要になります。ということです。
さらに、ハンドルステムを手で持つより、肩にかけたほうがずっと楽に運べます。
乗っている時もベルトは装着したままですが、普通に本体にぶらさげたままで特に問題は無いです。

磁石でハンドルとペダルを固定
(クリックで拡大)

もう一点、ハンドルが外側に広がってしまうという点。前述のとおり、ハンドルは折り畳まれているものの、ブレーキワイヤのため若干外側に広がろうとします。このためハンドルステムを持つと、ハンドルが足に当たって邪魔になることがあります。そこでこのハンドルを固定するため、磁石を使ってみました。具体的には左の写真のように、ハンドルの先端とベダルの内側に強力な磁石を接着剤で貼付け、畳んだ時にそれを接しさせます。これもなかなか良好。持ってあるいていると自然とペダルは水平に、つまり前後に広がるようになりますが、それも抑制できます。ただ近づけるだけで固定でき、広げる時は何も意識することなく広げるだけですからとても便利です。

パンクしやすい?

どうも普通の自転車よりもパンクしやすい傾向があるような気がします。
上にも書いたとおり、最初にパンクした時はチューブ内側に円周状にキズがありました。こんなキズ、ひょっとして最初からついていたのではないか…とも疑ったのですが、その後新品のチューブに交換したところ同様にパンクしました。新品チューブにはこのようなキズが無い事を確認していたのですが、パンクした時は同じようなキズがありました。
さらに新品のチューブに交換後、今度はパンクする前に一度チューブを取り出して確認。するとやはり、キズがついているのです。

ここにキズがつく原因まではわかりませんが、何か要因があることは確実です。そこでチューブ内側の全周にわかって、補強のためのゴムを貼付けました。

チューブ内側のキズ 補強用に全周にわたってパッチ

しばらくこれで使ってみた後、チューブの状態を確認してみたいと思います。


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