買っちゃったReport

NIKON SPORTSTAR-III

最終更新日 2010年02月20日 (コトあるごとに更新中)

購入後・実際に使ってみての素直なレポートのシリーズ
ニコンの双眼鏡です。

はじめに

目的は、ずばり、観劇。
いつでも持ち歩ける小型で高性能のモノが欲しい。
そんなときに発売されました。ニコンのSPORTSTAR-III
購入したのは8倍。8×25のモデルです。

カタログスペックにおける特長

なんといっても今回購入に至った決め手は「ワイド」です。視界8.2°、見かけ視界65.6°で、JISの「広角」規格である「見かけ視界65°」をクリアしています。
写真で見る限り、ダハプリズム式で小型に折り畳めそう。

1st Impression


左:NIKON SPORTSTAR-III(25mm)
右:VIXEN 8×20(20mm)

まずは買う時に感じた印象。

買う時、まず折り畳み後のサイズが予想以上に大きく感じました。しかしこれはあくまでも今まで使っていたビクセンの双眼鏡との比較。まぁ、口径が違いますから大きくて当然です。まぁ、それだけにしっかりした雰囲気はあります。

つぎに気になったのがアイカップ。回転させてアイカップを繰り出すという方式です。とにかく「取り出してすぐ使いたい」と思っていただけに、アイカップを繰り出すという操作を必要とすることに面倒なイメージを持ちました。

2nd Impression

次に購入後の印象。
実際に操作する順にレポートすると…

まずケースから取り出し、キャップを外します。次にボディーを広げ、アイカップを繰り出し、実際に覗いてみて目の間隔を調整し、何かを見てピント調整と視差調整。まぁ、このあたりは一般の双眼鏡と全く同じです。

アイカップ繰り出しは思ったほど面倒ではないものの、繰り出した位置に明確なロックがあるわけではなく、使っているうちにいつのまにか引っ込んでしまった、なんてことになりそうな気もします(まぁ、引っ込んでもそれほど問題ではないけど)。

次に視差調整。適当な「操作しにくさ」と「重さ」を持っています。8倍以外はクリックがあるそうですが、8倍はクリックがありません。視差調整は一度完璧に合わせてしまえばその都度調整する必要のない事なので、知らずに触ってズレてしまうより、ある程度の「操作しにくさ」を持っていてくれたほうが有り難いです。

ピント調整。ピント調整ダイヤルは2回転+270°位(計990°)の回転角があり、小型にしてはこの回転角は大きいほうじゃないかと思います。これが大きいとピント調整の操作時間が長くなってしまいますが、舞台観賞の場合はピント位置はほとんど動かないので問題ありません。むしろ微調整がやりやすいので良いでしょう。ちなみにビクセンのものは約270°でした。

明るさ。ひとみ径3.1mm、明るさ9.6です。人間の目のひとみ径は明るい所で約2mmらしいので、それより少し暗い所でも大丈夫といったとこでしょうか。確かにビクセンの8×20と比べると、明るい所ではあまり差はありませんが、暗い所では明らかに差がでます。見やすく、そしてピントも合わせやすくなります。観劇の場合は、主役にスポットライトが当たっている時に脇役をチェックしたり…など、暗いシーンでは有利でしょう。


左:アイカップを繰り出した状態
右:戻した状態

そして思った以上にアイカップは良い。結構ハードなアイカップで、目の周辺に軽く押し当てても変形せず、安定させることができます。さらにアイカップの繰り出し量が結構あり、使用中は瞼が接眼レンズに触れてしまうことがほとんどなく、レンズを皮脂で汚すことが少ないです。もし皮脂がついてしまっても、アイカップを戻せばクリーニングも簡単です。

アイカップを繰り出さない状態であれば眼鏡をかけたままでも使えるような説明がありますが、ちょっと視野が狭くなります。やっぱり眼鏡をはずして使ったほうが、ワイドの性能を生かせます。

ワイドの魅力は…

やはり魅力はワイド。小型双眼鏡の多くのモデルは8倍の場合は視界が6~7°ですが、これは8.2°あります。具体的にどう見えるのか、それをシミュレーションした絵を作ってみました。
10m離れたところから、それぞれ身長180cm、165cmの人を8倍の双眼鏡で見た時にどう見えるかです(かなり人間が細いけど、まぁ、雰囲気ってことで)。

6°(視界1.05m) 7°(視界1.23m) 8.2°(視界1.43m)

同じ8倍ですから、視野の中に見える像の大きさはすべて同じです。「視界」は、10メートル先のどのくらいの範囲が見えるか(直径)です。贔屓の俳優の表情(つまり顔)だけを見るのであれば視界はそれほど問題ないかもしれませんが、舞台ならやはり衣装や他の俳優の表情も同時に見れたほうがいいと思います。

カタログ等には大抵、実視界が書かれている他に「1000m先の視界」(1000m先の風景のどの位の範囲が見えるか)が書かれてます。が、観劇で1000m先も見ることはありませんので、単純にこの数字を1/100にして、「10m先の視界」を想像したほうがわかりやすいでしょう。「1000m先の視界」が書かれていないなら、「視界(度)×0.175」という式で、10m先の視界が概算できます(例えば視界8.2°なら、8.2×0.175=1.435メートル)

使ってみた

劇団四季「ジーザス・クライスト・スーパースター」の2階席からの観劇に使いました。よほど暗いシーンでない限り、肉眼とそれほど変わらない明るさで見ることができました。視界は、「視野が広い」というより「見やすい」という感じです。見る対象物は視界の中の中心付近なので、多少狭くても不自由ということは無いと思いますが、実際に見た感覚として「見やすい」というのは良いです。
また、ピント合わせが楽でした。座席がサイドになると、見る対象が上手か下手かでピント調整が必要になりますが、適当な回転角と適当な遊びが良いです。
難点と言えば、中央と周辺とで若干ピントにずれがあるようです。その点がちょっと残念ですが、まぁ、周辺にしっかり見たいモノがあるならそれが中央になるようにちょっと振れば済むだけなので、それほど問題になりません。

 結論:良いぞ!

いわゆる「オペラグラス」はどうあるべきか

先日、勤務中に突然「ジキル&ハイド」を観たくなり、勤務を終えてから日生劇場に行きました。ところがいつもの双眼鏡を持っていない。仕方なく日生劇場でのレンタル品を使いました。
ところがこれが、見づらいのなんのって…。 保証金が安かったから、たぶん本体も安いものなのでしょう。倍率は5倍だったかな。それより、とにかく視界が狭かったというのが印象に残ってます。上の視界のシミュレーション図でいう、6°のサンプルのよう。本当に、小さな穴の中から覗いているという雰囲気でした。
そこで、「オペラグラス」というとひとつのカテゴリなのかもしれませんが、観劇用双眼鏡とはどうあるべきか、勝手にまとめてみます。双眼鏡のスペック三大要素、倍率、視界、明るさを。

とは言うものの、これはどう調べればいいのか。説明書とかカタログとか見れば書いてあるでしょうけど、大抵の場合は本体に書かれているので店頭で見本を見るだけでわかります。「倍率×対物レンズ有効径」という表記で、 そしてFIELD(視界)が書かれています。いろいろ例。

PENTAX
10×18 6°
FOCUS
7×21 7.5°
VIXEN
8×20 7.2°
NIKON
8×25 8.2°

では、数字がわかったとこで、どう選ぶか。

まず倍率。

一般に観劇用としては6~8倍と言われてますが、好みもあるでしょう。ちなみに私の感覚、今まで使った感想ではこんな感じです。

倍率 コメント
3倍 よく劇場で売られている500~1000円くらいのおもちゃのようなものがこの程度。または、よくあるお洒落なオペラグラス。観た感じ、それほど近付いて見えるという雰囲気ではない。スポーツ観戦のように動きの激しいものを観るなら良いかもしれないが、舞台上の役者をしっかり見たいという事であればこの倍率では足りない。役者を見たいというのではなく舞台全体を一歩近付いて観たい、というならこのあたり。
5~6倍 アップという雰囲気では無いが近付いて観た、という雰囲気。後部座席に座っていながら中距離で見る雰囲気。前の席で見るのが苦手な人には丁度いい程度かもしれない。でもちょっと中途半端な倍率。
7~8倍 ひとりの役者をじっくりとアップで見たい場合はこのあたり。微妙な表情や繊細な衣装の模様などもしっかりと見ることができる。10メートル位離れても汗とかマイクとかもしっかり見えるので、そこまで見える事を嫌うならおすすめできないが、そこまで含めた役者の演じっぷりを楽しみたいなら良い倍率。
10倍 結構アップ。とにかく役者の「顔」をじっくり見たいという人には良いかもしれないが、手ブレもそれなりに大きくなる。さらに暗くなるという欠点も。

というわけで、個人的な意見として私が他人に勧めるとしたら6倍から8倍でしょうか。低めがいいなら6倍。高めがいいなら8倍。
注意として、ズームは便利そうですが、よほど高性能なものでない限り避けたほうがいいでしょう。小型の機種でズームの場合は大抵の場合、視界や明るさが犠牲になっているようです。ズームの便利さで観づらくなってはもったいないです。

明るさ。


目から離して見える明るい点の直径がひとみ径。
上:NIHON 8×25
下:Vixen 8×20

明るいにこしたことは無いでしょう。店頭で双眼鏡を選ぶ時は、店は明るいのであまり違いは感じられないと思いますが、暗い中では差が出ます。見た感じでは店頭では比べにくいので、数字を参考にしましょう。カタログに「明るさ」という数字が出ていることがありますが、これは「ひとみ径」の2乗の数字です。これが9以上、つまり、ひとみ径が3mm以上であれば、結構暗いシーンでも(たとえば暗いシーンでスポットライトの当たっていない役者とか)でも肉眼と同じくらいに見ることができるでしょう。ひとみ径とは、双眼鏡を目から離して見たときに見える小さな明るい点の直径に相当します。この径が人間のひとみの径より小さいと、肉眼より暗く見えることになります。
双眼鏡本体には対物レンズ有効径が書かれていますが、これを倍率で割ると大抵の機種ではひとみ径になります。例えば「8×20」と書かれていれば、20÷8=2.5[mm]が、ひとみ径になります。観劇用としてはこれが2.5mmくらいは欲しいところです。
つまり対物レンズ径が大きいほど、そして倍率が小さいほど、明るくなります。さらに一般的に対物レンズ径はそのまま本体の大きさになります。このあたりのバランスが選択のポイントでしょう。つまり、
・同じ大きさ(同じ対物レンズ径)であれば、倍率が高いほど暗い。
・同じ倍率なら、小型(対物レンズ径が小さい)であるほど暗い。
という事です。

視界。

広いほど見やすくなります。広すぎて困ることはありません。
妙なたとえですが、視界が狭いと四季劇場のC席のような雰囲気。狭い隙間から舞台を覗くような雰囲気です。狭いとストレスがたまります。広角だと見やすさが全然違います。感覚的な明るさもアップします。
視界は「FIELD 6.5°」のように表記されていますが、これに倍率を掛けたものが「見かけ視界」になり、これが65°以上だと「広角」と表現できるようになります。見かけ視界が最低でも50°以上、おおむね55°以上のものを選ぶといいと思います。

コトあれば更新予定。


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