買っちゃったReport

SDS6062

最終更新日 2013年01月17日 (コトあるごとに更新中)

購入したものを素直にレポートするシリーズ。
OWONの低価格オシロスコープ、SDS6022です。

はじめに

今までDSO nano等の超小型オシロスコープを使って来ましたが、やはり小型故に使いにくく、普通のサイズのものの購入に踏み切りました。
安価なオシロスコープといえばOWONのPDS5022が代表でしょうか。25MHzと帯域は狭いながらも3万円台(直輸入版の場合。以下も同様)。しかしちょっと奮発して新モデル、60MHzのSDS6022にしました。アテックスで49200円。
PDSシリーズの60MHz版は7万円近くするので、それに比べたら安価、しかも高性能です。
購入したのはLAN(Ethernet)端子付き、RS232C無し、VGA出力無しのタイプ。このあたりは購入先によって異なるのかもしれません。例えば秋月電子のサイトの写真にはRS232C端子がありますがEthernet端子がありません。これらの機能が必要であれば購入前に確認をしたほうがいいでしょう。

1st Impression

箱から出してまず感じる事が「薄い」という事。厚さ70mmで、PDSシリーズの120mmよりもかなり薄くなっています。
画面は8インチでPDSシリーズとそれほど変わりませんが、PDSシリーズと違い画面右のメニュー表示が無く、波形表示エリアとしてはかなり広くなっています。ちなみに液晶は800×600で、PDSシリーズよりも高解像度です。TFT液晶の画面はクリアで非常に見やすく不満はありません。
垂直分解能は8bitなのでPDSシリーズと同等です。ちょっと貧弱には感じるものの、その情報量はテスターとは比べ物にならず、アマチュアが製作するレベルで波形観測する上では充分満足とは言えなくても必要最小限とは言えるでしょう。
オペレーションも画面下にメニューボタンが追加されて操作しやすくなりました。テクトロのオシロと同じような操作性で簡単、デジタルオシロスコープを使った事があるなら基本操作はマニュアルを見る事なく操作できるのではないかと思われます。
使い勝手は、DSO nano等の超小型オシロスコープとは比べ物になりません。

とりあえずここではPDSシリーズとの違いを中心にレポートします。なお当方PDSシリーズは持ってないのでマニュアルから確認しています。現実と異なる点があれば御容赦を。
相違点をおおまかに分類すると以下になるかと思います。
・画面表示の高解像度化、波形表示エリアの大型化
・オペレーションの改善
・外部インターフェースの追加
・その他
以下、それぞれについてレポートを。

画面表示

前述のとおり液晶表示は800×600pixelです。PDSシリーズは波形表示エリアの右側に固定されたメニュー表示エリアがありますが、SDSシリーズは画面の横幅ほぼ一杯に波形表示エリアがあり、画面右のメニューは必要に応じて波形表示エリアの上にオーバーラップ表示されます。このため単に解像度が高いだけではなく波形表示エリアが広くなっています。波形表示エリアはPSDシリーズが横:縦の大グリッド比が10:8だったのに対しSDSシリーズは15:10と、より横長になっています。
表示の雰囲気としても、解像度が上がった分からか、より高級感が出てるのではないかと思います。

オペレーション

PDSシリーズと大きく変わったのが画面下にメニューボタンが追加された事でしょう。これによって基本操作は、まず各機能キーを押し、画面下に表示されるメニューを選択、必要に応じて画面右に出てくるメニューを選択するという操作になっています。
画面右のメニューは前述のように必要に応じて表示されます。これは他の機能を選択した時、メニューMENU OFFボタンを押した時、および一定時間(設定可)経過時に自動的に消えます。このようにすることで波形表示エリアをできるだけ広く設けた事には好感が持てます。
さらに、これもテクトロにあるような多目的ダイヤルがあり、これで様々な選択ができるようになっています。しかしこのダイヤルに回転時のクリックが無いのが残念です。

また、Run/Stopボタンの下にSingleボタンが追加されています。これを押す事で簡単にSingle掃引モードに切り替える事ができます。最近のテクトロのオシロにも搭載されている便利なボタンです。Single掃引モードを使う時、まずはAutoやNormalモードで波形を表示させながら目的の波形が表示されるよう調整し、そしてSingleに切り替える事が多いかと思いますが、その最後の切替がトリガ設定メニューに入る事なくできるという事はとても便利です。ちなみにSingle掃引モードで停止中にAuto/Stopボタンを押せばAutoモードになります。

また、垂直位置、水平位置、トリガレベルの調整ダイヤルがボタン付きになりました。ダイヤルを押すとデフォルト値に戻すことができます(例えば垂直は中央が0Vになる)。

各種操作のダイヤルの位置等はごく普通のオシロスコープと同様であり、オシロスコープを使ったことがある人ならば基本的な操作は全く違和感なく操作できるでしょう。レスポンスも不満を感じる程の事はなく、問題ありません。

外部インターフェース

まずUSBはホスト端子が追加になり、USBメモリが接続できるようになっています。これによって波形データや画面のイメージ(BMPファル)をUSBメモリ経由で簡単にPCに取り込むことができるようになっています。特に波形データーはCOPYボタンを押すだけで簡単に取り込むことができます(マニュアルによると画面イメージも取り込めるようだが、うまくいかない)。
取り込んだ波形データ(.binファイル)はOWONのオシロスコープアプリケーションで読み出す事ができます。

PDSシリーズにはUSBデバイスポートがありPCから波形等の取得が可能でしたが、ネットワーク経由での取得も可能になりました。基本的にUSBと同等の機能と思われます。
(LAN端子はオプションのようなので購入時に要確認です)

その他

その他、PDSシリーズに対して追加されている便利そうな機能では…

○Save項目の追加
保存できる項目として、波形データ(.bin形式)だけではなく、画面イメージ(.bmp形式)、そして設定(Setting)の保存と「Record」機能が追加されています。波形データは内部ストレージなら15個、外部(USBメモリ)ならば容量次第。波形の読み出しは内部ストレージのみ可能です。
設定(Setting)の保存は他のオシロにもよくある、各種設定状態の保存で、これは必須でしょう。内部ストレージに8個保存可能です。
「Record」は、いわば動画の保存で、最大1000フレームまで保存することができます。シチュエーションによっては役立つかもしれません。
なお、購入直後はSettingのメモリがデタラメのようで、保存前にLoadすると誤動作に陥ってしまうので注意が必要です。まずデフォルト設定を全ての保存領域に保存しておいたほうがいいでしょう。

○トリガの種類
トリガの種類として、スロープタイム、パルス幅をトリガとして選択できます。さらにオルタネートトリガもサポートされました。

○Pass/Failチェク
現在表示されている波形から垂直・水平の枠を定義し、そこからはみ出したら異常とする機能です。普通のトリガ機能では捕捉できないような波形の異常の瞬間をキャプチャすることができます。これもシチュエーションによっては非常に頼もしい機能です。
異常を検出した場合には波形を停止し、ビープ音を出す他、出力端子に信号を出す事も可能です。

その他羅列。

○グリッド表示のON/OFF
○時計内蔵…USBメモリへの書き込み時のファイル名に使われます。画面に時刻表示も可。
○自動キャリブレーション機能
○ヘルプ機能(簡単なマニュアルが表示される)

実力は?

帯域が60MHzなのでアナログのNTSCビデオ帯域は充分に使えそうです…まぁ、最近ではNTSCの信号自体あまり使われなくなりましたが…。
ということでNTSC信号のサンプルです。信号は秋月のシグナルジェネレーターの出力波形、ターミネートは無し(ハイインピーダンス)です。ということで厳密なNTSC準拠の波形ではありません。

まずはLine同期の波形。カラーバーです。

これだけ表示されていれば充分でしょう。
さらに水平同期、バースト部分を拡大してみました。

H同期にオーバーシュートがあるのは実際にそんな波形なのだろうと思います。カラーバースト部は正弦波とは言えないほどに歪んでいますが、これは実際にこのような波形なのか、それともこのオシロの実力なのか、わかりません(ごめんなさい)。おそらくこのような波形なのでしょう。
このカラーバーをFFTモードで表示させてみました。

しっかりとサブキャリアの3.58MHzにピークがあります。当然ですが。

で、買いか?

低価格オシロスコープのOWONですが、PDSシリーズで40MHzのモデルが6万円台、このSDS6022が60MHzで4〜5万円台なので、よほど安売りでない限りPDSシリーズはPDS5022以外を選択する理由は無いでしょう。
「とにかく安くオシロスコープを入手したい」という事であれば3万円台で入手できるPDS5022も悪くないとは思います。しかしそれより高い帯域が欲しいなら、または25MHzで充分という事でも5万円くらいの予算があるなら、SDSシリーズを選択すべきでしょう。

品質やサポートについてはOWON直輸入モデルは未知数ですが、機能や操作性については満足できるレベルです。



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