はじめに
Appleが GarageBand を発表した時、同時にこのMIDIコントローラーキーボードも発表されました。
49鍵のシンプルで安価なキーボードです。でも、ずいぶんとコントローラーが少なくないか、というわけで、 EDIROL の PCR-30 を購入しました。
しかしキーボードを使っていると、本格的に両手での演奏を練習したくなります。 PCR-30 は32鍵。両手での演奏にはちょっと足りない。ってことで昔に購入した YAMAHA のシンセサイザー DX-100 を引っ張りだして練習。でも DX-100 のミニサイズキーボードは練習にはちょっと不向き。 DX-100 と同等の49鍵のフルサイズキーボードが欲しい…。でも、一般向けのキーボードはなぜかデカいし、かと言って電子ピアノを買うほどの気合いも無い。というわけで、シンプルな49鍵の M-AUDIO KEYSTATION 49e を AppleStore (オンライン)で衝動買いです。
1st Impression
USBで直結、ドライバーも不要、おまけにバスパワーで電源も不要。ってことで、接続し、 GarageBand を起動させ…あっさりと音が出ました。実に簡単です。
全84ページのマニュアルが付属していますが、中身は6ヶ国語なので、実質的なマニュアルはかなり薄いです。
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本体にはピッチベンドとモジュレーションホイール、ボリューム、オクターブ+/ーボタン、そして ADVANCED FUNCTIONS というボタンがあります。この ADVANCED FUNCTIONS で、いろいろできるようです。で、できることは以下のとおり。
- オクターブ+/ーボタンを、トランスポーズ+/ー、出力チャンネル選択、プログラムチェンジにアサイン可能。
- モジュレーションホイールとボリュームスライダーは、各種MIDIエフェクトにアサイン可能(パンとかボリュームとか)。
- MIDI出力端子を、USB-MIDI変換機として使用可能(ただしあくまでもMIDI出力のみ)。
主な機能はこんなところでしょう。
標準では、ボリュームスライダーを動かすと GarageBand のトラック音量が変化します。モジュレーション、ピッチベンドとも、 GarageBand は受け付けてくれます。
本体にはMIDI出力があるので、PCが無くても音源モジュールがあればMIDIで接続して音が鳴らせます。その場合はACアダプターが必要ですが、付属してません。
2nd Impression
このキーボードの特長のひとつに、キーベロシティーセンシティブということがあります。 PCR-30 に比べるとかなり「軽く」なっているようで、同じ強さでも大きな音(大きなデータ)が出るようです。
が、なんだか「G2」のキーだけ、やたらとでかい音がするぞ。
いや、それだけでない。なんだかベロシティー感度にずいぶんとばらつきがあるような気がする…。
安かろう、悪かろうなのか?
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5個のキーを均等に同時に押す |
気になって、ベロシティーについて調べてみました。
白鍵5個分の幅のある箱を使って、5個の白鍵を同時に押します。これでほぼ同じ強さで5個のキーが押されます。これを GarageBand で「録音」し、ベロシティーの値を調べます。3回弾いて平均をとってみました。
キー
|
1回目 |
2回目 |
3回目 |
平均 |
C1 |
88 |
82 |
85 |
85.00 |
D1 |
89 |
84 |
87 |
86.67 |
E1 |
96 |
91 |
96 |
94.33 |
F1 |
85 |
79 |
84 |
82.67 |
G1 |
84 |
78 |
83 |
81.67 |
A1 |
94 |
95 |
102 |
97.00 |
B1 |
95 |
96 |
103 |
98.00 |
C2 |
83 |
87 |
95 |
88.33 |
D2 |
70 |
76 |
87 |
77.67 |
E2 |
83 |
87 |
93 |
87.67 |
F2 |
43 |
97 |
75 |
71.67 |
G2 |
105 |
127 |
114 |
115.33 |
A2 |
25 |
78 |
54 |
52.33 |
B2 |
37 |
94 |
70 |
67.00 |
C3 |
24 |
79 |
55 |
52.67 |
D3 |
71 |
77 |
70 |
72.67 |
E3 |
73 |
82 |
72 |
75.67 |
F3 |
69 |
78 |
68 |
71.67 |
G3 |
57 |
68 |
56 |
60.33 |
A3 |
37 |
52 |
37 |
42.00 |
B3 |
97 |
87 |
84 |
89.33 |
C4 |
105 |
97 |
94 |
98.67 |
D4 |
105 |
98 |
90 |
97.67 |
E4 |
87 |
72 |
59 |
72.67 |
F4 |
107 |
99 |
91 |
99.00 |
G4 |
113 |
98 |
109 |
106.67 |
A4 |
113 |
101 |
112 |
108.67 |
B4 |
86 |
67 |
84 |
79.00 |
C5 |
85 |
63 |
80 |
76.00 |
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色分けした5個ずつ(G4〜C4は4個)のキーを同時に押しているので、その中ではベロシティーがそろっていてほしいとは思うのですが、結構ばらついてます。G2が突出しているのは不良だよなぁ。実際弾いていて違和感を感じます。
参考として、同じように PCR-30 も確認してみました。
キー |
1回目 |
2回目 |
3回目 |
平均 |
F2
|
26 |
48 |
62 |
45.33 |
G2 |
26 |
48 |
62 |
45.33 |
A2 |
26 |
46 |
62 |
44.67 |
B2 |
23 |
41 |
53 |
39.00 |
C3 |
24 |
41 |
53 |
39.33 |
D3 |
46 |
41 |
45 |
44.00 |
E3 |
48 |
41 |
45 |
44.67 |
F3 |
41 |
34 |
37 |
37.33 |
G3 |
52 |
41 |
45 |
46.00 |
A3 |
56 |
46 |
52 |
51.33 |
B3 |
48 |
46 |
48 |
47.33 |
C4 |
53 |
52 |
53 |
52.67 |
D4 |
48 |
52 |
56 |
52.00 |
E4 |
46 |
48 |
46 |
46.67 |
F4 |
41 |
46 |
45 |
44.00 |
G4 |
48 |
62 |
56 |
55.33 |
A4 |
41 |
72 |
53 |
55.33 |
B4 |
41 |
62 |
53 |
52.00 |
C5 |
41 |
59 |
53 |
51.00 |
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うーん、KEYSTATION 49e に比較すると、ばらつきはなかり抑えられているではないか。
このデータを見る限りにおいては、あまり言いたくは無いが、「安かろう、悪かろう」と言えなくもない、というのが印象です。繊細なキータッチを音の強弱としてきちんと再現してほしい、と思うのであれば、上記2機種の比較で言えば間違いなく EDIROL PCR-30 に軍配が上がるでしょう。
3rd Impression
軽い。
間違いは多いものの、なんとか簡単な曲なら演奏できるようになった。しかし強弱がつけにくい。フォルテの部分で強く弾いても、強くなりません。確認してみたら…よほど意識して軽く押さない限り、かなり大きなベロシティー値になってしまうようです。例えば上の表は全く同じではないものの、同じような強さで押したつもりです。しかしKEYSTATION 49eはPCR-30に比べると大きなベロシティーの値になっています。
そして実際に演奏してみると、これがすごく難しい。中くらいのベロシティーの値になるように演奏するのはほとんど無理でした。
実際にキーを押す強さとベロシティーの値がグラフにできれば面白いと思うのですが、KEYSTATION 49eはこれがかなり「急」のような感じです。つまり、弱いと音が出ない。ちょっと強く押すとあっという間に127(最大値)を出力してしまう、というように。
はっきり言って、KEYSTATION 49eにあるキーベロシティー対応の機能を期待しないほうがいいでしょう。
ちなみにPCR-30はかなり強くキーを押さないと127にはなりません。しかしキーベロシティーにオフセットを付加する機能があるので、弱く押しても強く押したことにしてほしい、という事に対応することができます。
うーん、PCR-80を買ってしまおうか。
コトあれば更新予定。